専門医の頭痛ブログ

【頭痛専門医が解説】危険な頭痛の見分け方|命に関わるサインを見逃さないで

危険な頭痛の見分け方を知っておくことは、あなたやあなたの大切な人の命を守るために非常に重要です。「いつもの頭痛だから」と軽く考えていたら、実は命に関わる病気のサインだった、というケースも少なくありません。

この記事では、長年頭痛に悩んでいる方やそのご家族に向けて、見過ごしてはいけない「危険な頭痛」のサインについて、頭痛専門医が分かりやすく解説します。

【この記事のポイント】
  • ✅ 頭痛には、命に関わる病気が原因の「二次性頭痛」があります。
  • ✅ 「いつもと違う」と感じるいくつかの危険なサインを知ることが大切です。
  • ✅ 危険なサインに当てはまる場合は、様子を見ずに直ちに救急受診してください。

「いつもの頭痛」とは違う?命に関わる「二次性頭痛」

頭痛には、大きく分けて2つの種類があるのをご存知でしょうか。

一つは、片頭痛や緊張型頭痛のように、頭痛そのものが病気である「一次性頭痛」です。いわゆる「頭痛もち」の方の多くが、このタイプにあたります。

もう一つが、今回注意していただきたい「二次性頭痛」です。これは、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎など、他の病気が原因となって起こる頭痛のことです。原因となる病気によっては、命に直接関わるため、一刻も早い対応が必要になります。

頭痛の種類 特徴 代表的な例
一次性頭痛 頭痛そのものが病気(慢性頭痛) 片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛
二次性頭痛 他の病気が原因で起こる頭痛 くも膜下出血、脳卒中、脳腫瘍、髄膜炎など

長年付き合っている頭痛だとしても、「いつもと何かが違う」と感じたら、それは二次性頭痛のサインかもしれません。

【要確認】危険な頭痛を見分けるためのチェックリスト

では、具体的にどのような症状に注意すればよいのでしょうか。私たち専門医も、危険な頭痛を疑う際に確認する「レッドフラッグサイン(危険信号)」というものがあります。それを基に、ご自身で確認できるチェックリストを作成しました。

危険な頭痛のサイン・チェックリスト

  • これまでに経験したことのない、突然の激しい頭痛(特にバットで殴られたような痛み)
  • 手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるといった症状を伴う
  • 高熱(38℃以上)や、首の後ろが硬直して曲げにくいといった症状がある
  • 50歳以降になって初めて経験する頭痛
  • 今まであった頭痛のパターンが変わった(痛む場所、頻度、強さなど)
  • だんだんと痛みが強くなっていく、頻度が増していく
  • がんや免疫不全の持病がある方の頭痛
  • 咳やくしゃみ、力んだり、おじぎをしたりすると強くなる頭痛

これらの項目に一つでも当てはまる場合は、自己判断で様子を見るのは非常に危険です。すぐに専門の医療機関を受診してください。

特に注意すべき頭痛の具体的な症状

チェックリストの中でも、特に緊急性が高い症状と、その背景に隠れている可能性のある病気について解説します。

バットで殴られたような突然の激痛(雷鳴頭痛)

「人生最悪の頭痛」とも表現される、突然の激しい頭痛は、くも膜下出血の典型的な症状です。意識を失うこともあり、命に直結する非常に危険な状態です。この場合は、迷わず救急車を呼んでください。

手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない

頭痛と共に、片方の手足に力が入らない、しびれる、言葉がうまく話せない、顔がゆがむといった症状がある場合、脳梗塞や脳出血といった脳卒中が疑われます。脳の血管が詰まったり破れたりしている状態で、時間との勝負になります。

発熱や吐き気、首が硬くなる

頭痛に加えて、高熱や強い吐き気、そして首の後ろが硬くなって前に曲げにくくなる(項部硬直)といった症状が見られる場合は、髄膜炎の可能性があります。これは脳を包む髄膜に細菌やウイルスが感染して炎症を起こす病気で、早期の治療が必要です。

徐々に悪化し、朝方に強い頭痛

数週間から数ヶ月かけて、頭痛がだんだんと悪化していく場合、特に朝方に痛みが強い、吐き気を伴う、といった特徴があれば、脳腫瘍の可能性も考えなくてはなりません。腫瘍が大きくなることで頭の中の圧力が上がり、頭痛を引き起こします。

危険なサインに当てはまったら、どうすればいい?

もし、これまでにご紹介したチェックリストの項目に一つでも当てはまる場合は、「いつもの頭痛薬を飲んで様子を見よう」と自己判断しないでください。

ためらわずに、すぐに救急車を呼ぶか、ご家族に頼んで夜間・休日診療を行っている救急病院を受診してください。

二次性頭痛の原因となる病気は、治療が早ければ早いほど、後遺症を軽くしたり、命を救えたりする可能性が高まります。「大げさかもしれない」と躊躇する必要はまったくありません。

前川医師
頭痛専門医のひとこと

長年頭痛にお悩みの方ほど、「どうせいつものことだから」と我慢してしまう傾向があります。しかし、「いつもと違う」というご自身の感覚は、何よりも信頼できる危険信号です。少しでも不安や疑問を感じたら、決して我慢したり放置したりせず、速やかに医療機関に相談してくださいね。

【重要】
この記事で挙げたような危険なサインがある場合、緊急の検査や治療が必要です。当院はオンライン診療を専門としており、救急対応は行っておりません。該当する症状がある方は、直ちに最寄りの救急医療機関を受診してください。

頭痛専門医の写真(前川裕貴 医師)
この記事を書いた医師
頭痛センター長 頭痛専門医 前川裕貴

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