専門医の頭痛ブログ

【頭痛専門医が解説】群発頭痛とTACsの見分け方|片側頭痛・SUNHAまで治療を整理

TACs

TACs(群発頭痛短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNHA)片側頭痛etc)は、いずれも片側に激しい痛み+自律神経症状(涙・鼻水・眼の赤み 等)が特徴。タイプごとに効く治療が違うので、見分けが肝心です。

頭痛専門医のひとこと
40代男性では群発頭痛が相対的に多め。発作が来てから薬を探すのはツラいので、診断→持ち駒の準備を先にやりましょう。

TACsをざっくり比較(症状の型)

タイプ発作時間回数キモの所見鍵となる治療
群発頭痛 15〜180分 1日1〜8回、群発期に集中 夜間に多い/落ち着きがないほど痛む/涙・鼻閉・眼瞼下垂 酸素吸入・皮下注/点鼻トリプタン、予防にベラパミル短期ステロイド(橋渡し)
短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNHA:SUNCT/SUNA) 1〜600秒 1日数十〜数百回 電撃痛・流涙・結膜充血が顕著、誘発されやすい ラモトリギン、他にカルバマゼピン/オクスカル、トピラマート 等
発作性片側頭痛(PH) 2〜30分 1日5回以上が典型 片側の激痛+自律神経症状 インドメタシンに劇的反応(診断的治療)
持続性片側頭痛(HC) 持続性(増悪を挟む) ほぼ毎日 軽い痛みが持続し時々悪化 インドメタシンに劇的反応(少量長期が必要なことも)

疫学メモ:TACsはまれ。群発頭痛は成人の約0.1%前後と言われ、男性にやや多い傾向があります。

これ、TACsっぽい?(自己チェック)

  • 痛みは必ず片側で、涙・鼻水・眼の赤み・瞼の下がりなどが同じ側に出る
  • 群発期/季節/夜間など時間の偏りがある
  • 強い痛みでじっとしていられない(群発頭痛に多い)
  • 1回が数秒〜数分と極端に短く、何十回も起きる(SUNHAを疑う)

治療の柱(タイプ別)

群発頭痛

  • 急性期:100%酸素(非再呼吸マスク)、皮下注/点鼻トリプタン
  • 予防:ベラパミル(心電図で用量調整)、リチウム など
  • 橋渡し:プレドニゾロン等の短期ステロイドで群発期立ち上がりを抑える

※トリプタンの回数管理は重要(MOH対策)。

SUNHA(SUNCT/SUNA)

  • 第一選択:ラモトリギン
  • 代替:カルバマゼピン/オクスカル、トピラマート
  • 難治例:静注リドカイン、神経ブロック等の専門的治療

PH / HC(インドメタシン反応性)

  • 診断的治療:インドメタシンで完全奏効が目安
  • 維持は最少量。胃腸障害など副作用に注意
頭痛専門医のひとこと
群発頭痛では発作早期に使える手段(酸素・トリプタン)を必ず準備。SUNHAは数秒の痛みがヒント。PH/HCはインドメタシン反応で道が開けます。

救急が必要なサイン

  • これまでにない突然の激痛/進行する神経症状(麻痺・ろれつ障害・視野の欠け)
  • 高熱・項部硬直・意識障害を伴う

当院は救急対応は行いません。緊急が疑われる場合は地域の救急へ。

当院オンライン受診の目安

  • 「片側+自律神経症状」の発作をくり返す/仕事に支障
  • 群発期の立ち上がりは早急な短期ステロイド療法が重要
  • 診断がつかず、タイプ別の治療設計をしたい

受診後はカルテIDを発行し、患者さま専用の頭痛日誌フォームをご案内。日誌をもとに予防と急性期の「持ち駒」を整えます(AI分析はIDのある方限定)。

頭痛専門医の写真(前川裕貴 医師)
この記事を書いた医師
頭痛センター長 頭痛専門医 前川裕貴

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