専門医の頭痛ブログ

新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)とは?突然始まる毎日の頭痛の原因・診断・治療|頭痛専門医が解説

診察室で患者さんの話に耳を傾ける頭痛専門医

「新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)」という言葉を聞いたことがありますか? まるで風邪のように、ある日突然始まり、毎日続く頭痛のことです。今回は、このNDPHについて、原因や治療法を詳しく解説していきます。

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【この記事のポイント】
  • ✅ NDPHは、ある日突然始まり、3ヶ月以上続く頭痛
  • ✅ 原因は特定が難しいことが多い
  • ✅ 治療は、頭痛のタイプに合わせた薬物療法や生活習慣の改善
この記事の目次
  1. 新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)とは?
  2. NDPHの症状
  3. NDPHの原因
  4. NDPHの診断
  5. NDPHの治療
  6. NDPHの予防
  7. こんな時は病院へ

新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)とは?

NDPHは、それまでほとんど頭痛がなかった人が、ある日突然、毎日頭痛を感じるようになる病気です。その頭痛が3ヶ月以上続く場合、NDPHと診断されることがあります。まるでスイッチが入ったかのように頭痛が始まるため、原因が分からず、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

NDPHは、国際頭痛学会が定める「国際頭痛分類」にも記載されている、れっきとした頭痛の病気です。しかし、その原因や治療法はまだ十分に解明されていません。だからこそ、正しい知識を持ち、適切な医療機関を受診することが大切です。

NDPHの症状

NDPHの主な症状は、毎日続く頭痛です。しかし、その痛みの種類や程度は人によって異なります。NDPHの頭痛は、大きく分けて以下の2つのタイプに分類できます。

  • 片頭痛のような頭痛:ズキンズキンと脈打つような痛み、吐き気、光や音に敏感になるなどの症状を伴うことがあります。
  • 緊張型頭痛のような頭痛:頭全体が締め付けられるような、重い感じの痛み。

NDPHの約67%は慢性片頭痛のような症状を示すという報告もあります(PMID: 37032616)。

これらの症状に加えて、めまいや倦怠感、集中力の低下などを感じることもあります。頭痛のせいで日常生活に支障が出てしまうことも少なくありません。

前川医師
頭痛専門医のひとこと

NDPHは、他の頭痛と間違われやすい病気です。特に、慢性片頭痛緊張型頭痛と区別することが重要です。自己判断せずに、専門医の診察を受けるようにしましょう。

NDPHの原因

NDPHの原因は、残念ながらまだはっきりと解明されていません。しかし、いくつかの要因がNDPHの発症に関わっていると考えられています。

  • ウイルス感染:風邪やインフルエンザなどのウイルス感染後にNDPHを発症することがあります。
  • 精神的なストレス:強いストレスや不安、うつ状態などがNDPHの発症に関与することがあります。
  • 免疫系の異常:自己免疫疾患などがNDPHの発症に関与する可能性が指摘されています。
  • Valsalva(バルサルバ)効果:咳、くしゃみ、いきみなどがきっかけになることもあります(PMID: 30888529)。

しかし、これらの要因がすべての人に当てはまるわけではありません。NDPHは、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染後にNDPHを発症するケースも報告されており、改めて注目されています(PMID: 38568492)。

NDPHの診断

NDPHの診断は、問診と神経学的検査が中心となります。医師は、あなたの頭痛の症状、発症時期、経過などを詳しく聞き取り、他の病気がないかを確認します。

ICHD-3の診断基準

項目基準
発症はっきりした日から毎日の頭痛が始まる(多くの患者は「この日から」と言える)
持続3ヶ月以上、途切れなく続く
除外他の疾患(脳腫瘍、くも膜下出血、髄膜炎、MOHなど)が原因ではない

NDPHと似ている頭痛との鑑別

NDPH慢性片頭痛MOH
発症突然(日付を覚えている)徐々に頻度が増加鎮痛薬の使いすぎから移行
頭痛歴以前はほぼなし元々片頭痛あり元々の頭痛あり
特徴片頭痛型 or 緊張型片頭痛の特徴ほぼ毎日のダラダラした痛み
薬剤過剰使用なし(発症時)併発の可能性ありあり(原因)

診断にはMRI検査なども行い、危険な頭痛の除外が必須です。

また、頭痛日誌をつけることも診断の助けになります。頭痛の頻度、強さ、持続時間、症状、薬の使用状況などを記録することで、医師はより正確な診断を下すことができます。頭痛記録アプリ・ズツノートなら、毎日の頭痛をワンタップで記録でき、主治医にも自動共有されます。

NDPHの治療

NDPHの治療は、症状を和らげ、日常生活への支障を減らすことを目的とします。しかし、NDPHに特効薬はなく、治療は患者さんの症状に合わせて個別に行われます。

NDPHの頭痛タイプ(片頭痛型 or 緊張型頭痛型)に応じて治療を選択します。

治療法片頭痛型NDPH緊張型頭痛型NDPH
急性期薬トリプタン、NSAIDsNSAIDs、アセトアミノフェン
予防薬バルプロ酸、トピラマート、アミトリプチリンアミトリプチリン
CGRP関連薬CGRP注射薬アクイプタ(検討される場合あり)通常は適応外
神経ブロック大後頭神経ブロック(効果がある場合あり)
非薬物療法睡眠改善、ストレス管理、適度な運動、認知行動療法

急性期薬の使いすぎはMOH(薬剤の使用過多による頭痛)を招くため、回数管理が重要です。

NDPHの治療は、根気が必要です。効果が出るまでに時間がかかることもありますが、諦めずに医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけていきましょう。

前川医師
頭痛専門医のひとこと

NDPHの治療は、患者さんと医師が二人三脚で進めていくものです。症状の変化や薬の効果などをこまめに医師に伝え、最適な治療プランを立てていきましょう。最近では、CGRP関連薬も選択肢の一つとして考慮されることがあります。

NDPHの予防

NDPHの原因がはっきりと分かっていないため、確実な予防法はありません。しかし、以下のことに気をつけることで、NDPHの発症リスクを減らすことができるかもしれません。

  • ストレスを溜め込まない:適度な休息や趣味の時間を持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
  • 規則正しい生活を送る:毎日同じ時間に寝起きし、バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 適度な運動をする:ウォーキングやストレッチなど、軽い運動を習慣にしましょう。
  • ウイルス感染を予防する:手洗いやうがい、マスクの着用などを徹底しましょう。

これらの予防法は、NDPHだけでなく、他の頭痛や生活習慣病の予防にもつながります。ぜひ、日々の生活に取り入れてみてください。

こんな時は病院へ

以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 急に始まった激しい頭痛
  • 頭痛に伴って、発熱、吐き気、嘔吐、麻痺、意識障害などの症状がある
  • 頭痛が日に日に悪化している
  • 市販の鎮痛薬を飲んでも効果がない
  • 頭痛のせいで日常生活に支障が出ている

これらの症状は、NDPH以外の病気が原因で起こっている可能性もあります。自己判断せずに、専門医の診察を受け、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。頭痛外来を受診することも検討してみてください。当院ではオンライン頭痛外来も行っていますので、お気軽にご相談ください。

【この記事のポイント】
  • ✅ NDPHは、ある日突然始まり、3ヶ月以上続く頭痛
  • ✅ 原因は特定が難しいことが多い
  • ✅ 治療は、頭痛のタイプに合わせた薬物療法や生活習慣の改善
前川裕貴 医師

前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

日本頭痛学会 日本神経学会 日本内科学会

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