片頭痛と食事には、実は多くの患者さんが気づいていない深い関係があるかもしれません。「昨日食べたチョコレートのせいかな?」「赤ワインを飲むと必ず頭痛が…」そんな経験はありませんか?
もちろん、食べ物が片頭痛の唯一の原因ではありません。しかし、特定の食品が引き金になったり、逆に特定の栄養素が症状の予防に役立ったりすることが知られています。この記事では、片頭痛と食事の気になる関係について、毎日の生活に役立つ情報をお届けします。
- ✅ 特定の食べ物や飲み物が、片頭痛の「引き金」になることがあります。
- ✅ 片頭痛の予防には、マグネシウムやビタミンB2などの栄養素が役立つ可能性があります。
- ✅ 大切なのは過度な制限ではなく、ご自身の体質を知り、バランスの良い食事を心がけることです。
片頭痛の引き金になりやすい食べ物・飲み物
ある特定のものを食べたり飲んだりした後に、いつも片頭痛が起こる…という場合、それがあなたの頭痛の「誘発因子」になっている可能性があります。これは、食品に含まれる特定の成分が、血管を拡張させたり、神経を刺激したりするためと考えられています。
ただし、すべての人に共通するわけではなく、個人差が大きいのが特徴です。一般的に片頭痛を誘発しやすいとされるものを知っておくことは、ご自身の体質を知る第一歩になります。
食品の分類 | 具体的な食品例 | 含まれる主な成分と注意点 |
---|---|---|
アルコール類 | 特に赤ワイン | 血管拡張作用のあるポリフェノールや、チラミンという物質が関係していると言われています。 |
チラミンを多く含む食品 | 熟成チーズ、チョコレート、柑橘類、漬物、サラミ、レバーなど | チラミンは血管を収縮させた後、拡張させる作用があり、これが頭痛を引き起こすと考えられています。 |
カフェイン | コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなど | 適量なら頭痛を和らげることもありますが、毎日大量に摂取している人が急にやめると、かえって頭痛(離脱頭痛)を起こすことがあります。 |
添加物 | うま味調味料(グルタミン酸ナトリウム)、人工甘味料(アスパルテーム)、亜硝酸塩(ハム・ソーセージなど) | 一部の人で頭痛を引き起こす可能性が指摘されています。 |
このリストを見て「好きなものばかり…」と落ち込まないでくださいね。大切なのは、ご自身の経験と照らし合わせることです。「頭痛日記」をつけて、何を食べたときに頭痛が起きたかを記録してみると、自分だけの原因食品が見つかるかもしれませんよ。
片頭痛の予防に役立つかもしれない栄養素
誘発する食べ物がある一方で、片頭痛の頻度を減らしたり、症状を軽くしたりするのに役立つとされる栄養素も存在します。「頭痛の診療ガイドライン2021」でも、いくつかの成分がサプリメントとして有効である可能性が示されています。
マグネシウム
マグネシウムは、神経の過剰な興奮を抑えたり、血管の収縮を調整したりする働きがあります。片頭痛の患者さんでは、このマグネシウムが不足している傾向があるとも言われています。
ほうれん草などの葉物野菜、ひじきやわかめなどの海藻類、豆腐や納豆などの大豆製品、アーモンドなどのナッツ類に多く含まれています。
ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB2は、細胞のエネルギー工場である「ミトコンドリア」の働きを助ける栄養素です。片頭痛の一因として、このミトコンドリアの機能低下が考えられており、ビタミンB2を補うことで片頭痛の予防効果が期待されています。
豚や牛のレバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品(牛乳・ヨーグルト)などに豊富です。
毎日の生活で心がけたい食生活のポイント
特定の食品を避けたり、特定の栄養素を摂ったりすることに加えて、日々の食生活全体を見直すことも、片頭痛のコントロールには非常に重要です。
食生活チェックリスト
- 食事は1日3食、規則正しい時間にとっていますか?
空腹(低血糖)は、片頭痛の強い誘発因子になります。忙しくても朝食を抜いたりせず、決まった時間に食べる習慣をつけましょう。 - いろいろな食材をバランスよく食べていますか?
特定の食品に偏らず、主食・主菜・副菜をそろえることを意識するだけで、必要な栄養素をまんべんなく摂りやすくなります。 - 水分はこまめに摂っていますか?
脱水も頭痛の原因の一つです。のどが渇く前に、こまめに水分補給をすることが大切です。
食事の乱れから頭痛の回数が増え、つい市販の鎮痛薬に頼りがちになっていませんか?薬を飲む回数が増えている方は、薬の使いすぎが原因で起こる「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」にも注意が必要です。根本的な生活習慣の見直しが、薬を減らす第一歩になることもあります。
まとめ:神経質になりすぎず、自分に合った食事法を見つけましょう
片頭痛と食事の関係について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。大切なのは、「これを食べてはいけない」「あれを食べなければ」と神経質になりすぎないことです。過度な食事制限はストレスとなり、かえって頭痛を悪化させてしまうことさえあります。
まずは、ご自身の体調をよく観察し、「これを食べると頭痛が起きやすいかもしれない」という傾向を探ることから始めてみましょう。その上で、予防に役立つ栄養素を少し意識して食事に取り入れてみる、というスタンスが長続きのコツです。
食事の工夫は、片頭痛をコントロールするための大切な手段の一つです。しかし、それだけで全ての頭痛が解決するわけではありません。食事を見直しても改善しないつらい頭痛は、適切な薬物療法などと組み合わせることで、もっと楽になる可能性があります。一人で悩まず、ぜひ私たち専門医にご相談くださいね。
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