専門医の頭痛ブログ

三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)総まとめ(群発頭痛/SUNHA/発作性・持続性片側頭痛)|見分け方と治療【決定版】

TACsサマリー

  • TACsは「片側の激痛+同側の自律神経症状」が核。発作時間の長さでおおむね鑑別。
  • 群発頭痛=酸素+トリプタンPH/HC=インドメタシンSUNHA=ラモトリギンが要。
  • 典型でも一度は頭部MRIを推奨。鎮痛薬の連用はMOHを招くため回数管理。
  • 各疾患の詳説は下のリンク(群発・SUNHA・PH/HC)へ。受診の目安も最後にまとめました。
頭痛専門医のひとこと
「秒〜分」「分〜30分」「15〜180分」—この時間のスケール感が道標。タイプごとに劇的に効く薬が違うので、まずは型をきっちり見極めましょう。

TACsの全体像(特徴・見落としやすいポイント)

TACs(trigeminal autonomic cephalalgias)は、三叉神経痛様の強い片側痛に、同側の自律神経症状(流涙・結膜充血・鼻閉/鼻汁・眼瞼下垂など)が伴う原発頭痛の総称です。代表は群発頭痛SUNHA(SUNCT/SUNA)発作性片側頭痛(PH)・持続性片側頭痛(HC)。タイプごとに第一選択薬が全く異なるため、最初の見極めが最重要です。

  • 発作時間が道標:秒〜分(SUNHA)/2〜30分(PH)/15〜180分(群発)/持続性+増悪(HC)。
  • 「効く薬」が決まっている:群発=酸素・トリプタン、PH/HC=インドメタシン、SUNHA=ラモトリギン。
  • 典型でも一度は画像:二次性(例:下垂体・後頭蓋窩病変)の報告があるため、MRI(必要に応じて下垂体造影)を推奨。
  • 鎮痛薬の漫然投与はNG薬剤使用過多による頭痛(MOH)の温床になります。

TACsの分類と見分け方(比較表)

タイプ発作時間頻度自律神経症状キモの所見第一選択
群発頭痛 15〜180分 1日1〜8回(群発期に集中) 流涙・結膜充血・鼻閉/鼻汁・眼瞼下垂 夜間に多い/じっとできないほどの激痛 100%酸素+皮下注/点鼻トリプタン(予防:ベラパミル等)
SUNHA(SUNCT/SUNA) 1〜600秒 数十〜数百回/日 流涙・結膜充血(SUNCTで顕著)、鼻症状 誘発されやすい電撃痛 ラモトリギン(代替:カルバマゼピン/オクスカル、トピラマート等)
発作性片側頭痛(PH) 2〜30分 ≥5回/日が典型 同側の自律神経症状 インドメタシンで完全奏効 インドメタシン
持続性片側頭痛(HC) 持続性(ときにフレア) ほぼ毎日 同側の自律神経症状がしばしば インドメタシンで完全奏効 インドメタシン(維持は最少量)

各論ダイジェスト:群発頭痛/SUNHA/PH・HC

群発頭痛(Cluster Headache)

流涙・鼻閉などの自律神経症状を伴う15〜180分の激痛が群発期に集中。男性にやや多く、夜間睡眠中の発作が目立ちます。

  • 急性期100%酸素(非再呼吸マスク 7–12L/分)、皮下注/点鼻トリプタン
  • 予防ベラパミル(心電図で用量調整)、リチウム等。
  • 橋渡し:群発期立ち上がりに短期ステロイドで抑え込む。
  • 禁忌/注意:トリプタンの回数管理、心血管リスク評価。

群発頭痛の詳説はこちら

SUNHA(SUNCT/SUNA)

秒〜数分の電撃痛が1日に何十回も。同側の流涙・結膜充血が核(SUNCTは充血+流涙が顕著)。

  • 第一選択ラモトリギン(少量から漸増)。
  • 代替:カルバマゼピン/オクスカル、トピラマート、ガバペンチン。
  • 難治例:静注リドカイン、後頭神経ブロック、神経刺激療法。
  • 鑑別:三叉神経痛(自律神経症状が乏しい)、群発頭痛(発作時間が長い)。

SUNHA(SUNCT/SUNA)の詳説はこちら

発作性片側頭痛(PH)/持続性片側頭痛(HC)

いずれもインドメタシンで劇的に奏効。PHは2〜30分の発作が多数回、HCは持続痛+フレアが特徴。

  • 診断的治療:インドメタシンで痛みが完全に消える(インドメタシンテスト)。
  • 維持:最小有効量に落として継続。胃薬(PPI/H2ブロッカー)を併用。
  • 代替:COX-2阻害薬、トピラマート、ガバペンチン、ベラパミル、メラトニン等。
  • 注意:腎機能・消化管・血圧など副作用モニター。

発作性/持続性片側頭痛(PH/HC)の詳説はこちら

検査・画像:いつMRI?何を見る?

  • 全タイプで一度は頭部MRI(必要に応じて下垂体造影)。とくに非典型例/発症年齢が高い/神経学的異常では必須。
  • 二次性鑑別:下垂体病変、海綿静脈洞、後頭蓋窩、眼科疾患、頸椎性など。
  • 血液:炎症所見、甲状腺機能、電解質、腎機能(インドメタシン使用時)。

生活調整と再発予防(非薬物の柱)

  • 睡眠・水分・栄養の底上げ。夜更かし・脱水・空腹は山を高くします。
  • 頸肩の緊張緩和:姿勢リセット・肩甲帯の軽運動。日本頭痛協会の頭痛体操PDFも参考に。
  • トリガーの記録:アルコール、ニトログリセリン暴露、睡眠不足/過多、季節性など。
  • 鎮痛薬の回数管理:MOH回避のため、漫然投与を避ける(詳細は薬剤使用過多による頭痛)。

周辺情報と関連ページ(深掘りリンク)

当院オンライン受診の目安

  • 「片側+自律神経症状」の発作をくり返す/生活・仕事に支障がある。
  • 群発期の立ち上がりで早期に酸素・トリプタン・橋渡し療法を整えたい。
  • PH/HCが疑われ、インドメタシンの適否や最小有効量での運用を相談したい。
  • 秒〜分の電撃痛で片頭痛治療が効かない(SUNHAを疑う)。

予約後はカルテIDを発行し、専用の頭痛日誌フォームで発作頻度・誘因・薬効の推移を可視化。最短で「効く型」に合わせ込む戦略をご提案します。

当院オンライン頭痛外来の流れ

1

公式LINEを登録

メニューから「予約」→「頭痛外来」を選択してください。

2

初診を予約(ビデオ診療)

ご都合のよい日時をお選びください。

3

予約後にカルテIDを発行

患者さま専用の頭痛問診票・頭痛日誌をLINEでご案内します(初診までにご記入)。

4

日誌をもとに診察

合う薬・使い方・生活の整え方を設計。
ご希望によりパーソナルサポート(自由診療)で日誌のAI分析・グラフ化・24時間チャットを追加(詳しくはこちら)。

頭痛日誌のAI分析・グラフ化のサンプルイメージはこちら
頭痛日誌のAI分析・グラフ化のサンプルイメージ
※サンプルです。実在の症例ではなく、効果を保証するものではありません。
頭痛専門医の写真(前川 裕貴 医師)
この記事を書いた人
頭痛センター長・頭痛専門医 前川 裕貴(医師)

オンライン頭痛外来は前川が担当します。記録を活かした診療(頭痛日誌のAI分析)で、“合う薬・使い方・生活の整え方”を一緒に設計します。※救急を要する症状は当院の対象外です。

オンライン頭痛外来のご案内

ご予約はLINEからお願いいたします。まずは落ち着ける場所で休み、合う薬・治療方針を一緒に見つけましょう。
頭痛日誌サンプルもご用意しています。当院では頭痛日誌をGoogleフォームで提出いただき、集計&解析して診療に役立てています。
さらにパーソナルサポートプラン(自由診療)では、日誌をAIで分析して傾向をレポート&グラフ化。24時間チャットで医師といつでも相談できます。

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