専門医の頭痛ブログ

【頭痛専門医が解説】緊張型頭痛の治し方|トリガーポイントと薬の選び方

緊張型頭痛のトリガーポイントを気にする40代日本人男性のイメージ

締め付けられるような痛みと肩こりが特徴の「緊張型頭痛」の原因と、効果的なセルフケア・治療法について専門医が解説します。

【この記事のポイント】
  • ✅ 肩や首の「コリの点(トリガーポイント)」が、離れたこめかみや後頭部に痛みを飛ばしていることが多くあります(関連痛)。
  • ✅ 治療の基本は、薬だけに頼らず、頭痛体操や姿勢改善で筋肉をほぐすことです。
  • ✅ 市販薬で改善しない場合、医療機関では筋肉を緩める薬(筋弛緩薬)や、痛みの感受性を調整する薬を使用します。
頭痛専門医
頭痛専門医のひとこと

40代男性などデスクワークの方では「長時間の座位+肩すくめ姿勢」が典型的な悪化要因です。セルフケアは「小さな圧+短いセット」で十分。強揉みや長時間は逆効果になりがちなので注意しましょう。

これ、緊張型頭痛かも?(特徴とセルフチェック)

緊張型頭痛(TTH)は、最も一般的な頭痛です。精神的なストレスや、長時間のデスクワークなどの身体的ストレスが重なって発症します。

緊張型頭痛のサイン

  • 片側だけでなく、頭全体あるいは両側が痛む
  • 脈打つ痛み(ズキズキ)ではなく、締め付けられるような重い痛み
  • 肩や首のこりを伴うことが多い
  • 動いても悪化せず、むしろ入浴などで温めると楽になる
  • 光や音への過敏はあっても軽度で、吐き気は少ない

痛みの正体:「トリガーポイント」と「関連痛」

「こめかみが痛いから、こめかみが悪い」とは限りません。首や肩の筋肉の中にできた硬いしこり(トリガーポイント)が、離れた場所に痛みを飛ばしていること(関連痛)がよくあります。

原因となる筋肉 場所の目安 痛みが飛ぶ場所(関連痛) 安全なセルフケアの指針
後頭下筋群 後頭骨のすぐ下、うなじの奥 後頭部〜頭頂部
(帽子の縁が当たるあたり)
温め→指腹でやさしく30–45秒
うつ伏せでの強圧は避ける
僧帽筋上部 肩〜首の付け根
(肩こりの定番)
側頭部・耳の上・首筋 座位で肩を下げ、指腹で軽圧。
痛みレベル5/10未満を目安に
胸鎖乳突筋 耳の前から鎖骨へ斜めに走る帯 こめかみ・目の奥・頬 つまみ揉みは避け、端を支える程度に。
めまい感が出たら中止
側頭筋/咬筋 こめかみ〜ほお骨の上 こめかみ・側頭部・歯 歯の食いしばりを意識してオフ。
舌を上顎に軽く当てるリラックス位を保つ

今日からできる対処法(安全版セルフケア)

自己流のマッサージは、かえって筋肉を傷つけることがあります。以下の手順で優しく行いましょう。

  1. 温める:蒸しタオルやシャワーで2〜3分、首肩を温めます。
  2. 優しい点圧:上記の表を参考に、トリガーポイントを指の腹で30–45秒、「痛気持ちいい」手前(痛みレベル5/10未満)で押します。左右1–2セットで十分です。
  3. 姿勢リセット:椅子の背にもたれ、肩をストンと落とし、90秒ほどゆっくり呼吸します。
  4. 頭痛体操:首や肩の筋肉を動かして血流を良くします。
頭痛体操(日本頭痛協会推奨)

日本頭痛協会が推奨する頭痛体操は、コリをやさしく解き、痛みを予防するのに有効です。
(※片頭痛の発作中は悪化することがあるので行わないでください)

👉 日本頭痛協会の頭痛体操(PDF)を見る

  • 毎日少しずつ(朝や入浴後など)続けることが大切です。
  • めまいが出たり、痛みが強くなる場合は中止してください。

薬の使い方と病院での治療(急性期・予防)

「たかが肩こり頭痛」と我慢したり、市販薬を飲み続けたりしていませんか?専門医では、痛みの悪循環を断ち切るために以下のような治療を行います。

1. 痛いときの治療(急性期)

市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDs)も有効ですが、使いすぎると薬剤使用過多による頭痛(MOH)を招く恐れがあります。月10日以上の服用が続く場合は要注意です。

2. 予防・根本治療(慢性化している場合)

頭痛が頻繁にある場合(反復性〜慢性緊張型頭痛)、以下のような処方薬を用いることがあります。

  • 筋弛緩薬(チザニジン、エペリゾン等):筋肉の過度な緊張を和らげます。
  • 抗不安薬・抗うつ薬(アミトリプチリン等):痛みを脳に伝える回路の「感度」を調整し、ストレスによる緊張を緩和します。
  • 漢方薬(葛根湯、釣藤散など):体質に合わせて、血流改善や筋肉の緊張緩和を図ります。

再発を減らす生活設計と危険な頭痛の除外

緊張型頭痛だと思っていても、稀に脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの病気が隠れていることがあります(二次性頭痛)。

  • 50歳以降で初めて頭痛が始まった
  • 日に日に痛みが強くなっている
  • 手足のしびれ、麻痺、言葉が出にくいなどの症状がある

このような場合は、必ずMRIなどの画像検査が必要です。当院でも、症状に応じて適切な検査や提携機関への紹介を行っています。

デスクワークでの再発予防策

  • 30分に1回は姿勢を変える(タイマー活用)
  • モニターの上端を目線の高さに合わせる(うつむき防止)
  • キーボードを体に寄せ、脇を締めて打つ

当院オンライン受診の目安

このような方はご相談ください

  • セルフケアや市販薬でも頭痛が改善せず、仕事や生活に支障がある
  • 肩首のコリがひどく、マッサージに行ってもすぐ戻ってしまう
  • 市販薬を飲む回数が増え、薬剤使用過多(MOH)が心配

受診後はカルテIDを発行し、患者さま専用のオンライン頭痛日誌をご案内します。日誌をもとに、「薬物療法」+「生活・姿勢指導」を組み合わせたオーダーメイドの治療計画を立てていきます。

頭痛専門医の写真(前川裕貴 医師)
この記事を書いた医師
頭痛センター長 頭痛専門医 前川裕貴

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