専門医の頭痛ブログ

【頭痛専門医が解説】群発頭痛|夜中の片側激痛を疑ったら—診断の受け皿と次回に備える

結論:群発期に入ったら「急性期治療」+「群発期コントロール」を同時に、早めに開始

専門家コメント:ガイドライン2021は、急性期には酸素療法トリプタン注射/点鼻を推奨。群発期のコントロールにはステロイド短期療法ベラパミルの早期導入が重要です。

これが出たら群発頭痛を疑うサイン

  • 片側だけえぐられるような激痛(15分〜3時間)
  • 同じ側の涙・鼻水・鼻づまり・まぶた下垂
  • 夜間〜入眠後に多く、数週間〜数か月まとまって続く
  • 群発期の飲酒で誘発されやすい

群発期のイメージ

群発期の入口〜早期に治療を始めるほど、その後の負担を抑えやすくなります。

治療(ガイドライン2021の要点)

場面推奨治療ポイント
急性期(今の発作) 酸素療法:100%酸素を高流量(例:非再呼吸マスクで7–15L/分前後)で約15分。
トリプタンスマトリプタン皮下注、またはスマトリプタン/ゾルミトリプタン点鼻
※経口トリプタンは発現が遅く、急性期には不向き。
「その場の痛み」を速やかに切る。併用・反復は医師の指示で。
群発期コントロール(早期開始) ステロイド短期療法:プレドニゾロン等を短期間投与し、1〜2週かけて漸減(個別調整)。
ベラパミル第一選択の予防薬。低用量から開始し、段階的に増量(例:1日240–360mg目安。個別に最適化)。
群発期の早期に導入し、発作自体を減らす/弱める。
※ベラパミルは心電図(PR延長等)の確認が必要。自己調整は不可。
補助・代替 大後頭神経ブロック(局麻+ステロイド)—「橋渡し」に有効。
リチウムトピラマートなど(適応・相互作用を確認)。
CGRP関連薬:適応や保険は地域・施設で異なるため要確認。
既往歴や併用薬で選択が変わります。専門医にご相談を。

専門家コメント:「急性期を切る治療」と「群発期を短く/軽くする治療」は別物です。ステロイド短期+ベラパミルの早期導入で、その後の発作が大きく変わります。

疑ったときの動き方(当院の受診目安)

激痛の最中救急の評価が優先(当院は救急対応の範囲外)。
痛みが落ち着いた当日〜翌日にオンラインで状況整理と治療設計を行います。

  • 典型症状があり、落ち着いた時間に評価と今後の計画を立てたい
  • 群発期の入口〜早期で、予防の開始・橋渡し治療を相談したい
  • 既診断で、前回効いた急性期薬の使い方や予防の見直しをしたい

オンラインでできること:鑑別と重症度の整理、急性期の選択肢と使い方の説明、ステロイド短期療法やベラパミル導入の適否の評価、必要時は対面医療機関への紹介・情報提供。

再発を減らす「準備チェック」

  • 群発期は飲酒を回避(1杯でも誘発しやすい)
  • 睡眠リズムを一定に(夜更かしは引き金)
  • 頭痛日誌時刻・持続・左右・誘因を記録(次回の準備に直結)
  • 前回有効だった急性期薬の手元使用手順の再確認
  • 群発期が来そうな1〜2週間前から予防戦略を決める(オンラインで設計)

頭痛専門医の写真(前川裕貴 医師)
この記事を書いた医師
頭痛センター長 頭痛専門医 前川裕貴

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