専門医の頭痛ブログ

薬剤使用過多による頭痛(MOH)|「飲むほど痛い」を抜け出す道筋

MOH

結論:MOH(薬剤使用過多による頭痛)は「やめ方+離脱期の支え+予防」の3点セットで抜け出せます

「効かない→増える」の流れを断ち、元の頭痛(片頭痛/緊張型)のコントロールに戻しましょう。

頭痛専門医のひとこと
断薬を独りで頑張るより、計画+支えを先に用意した方がラクで安全。山場は長くても数日〜2週間のことが多いです。

これ、当てはまる?(自己チェック)

  • ここ3か月で、頭痛薬の使用が月10〜15日以上に近い
  • 頭痛日数が月15日以上へ増えてきた
  • 薬の効きが落ちた/切れるとすぐ痛む

※トリプタン/配合鎮痛薬/オピオイドは月10日、単純鎮痛薬は月15日が目安。

なぜ起こる?(悪循環の仕組み)

発作のたびに薬を重ねると、痛みの回路が過敏になり「切れる→痛い→また飲む」に。これがほぼ毎日頭痛の原因です。リセットできれば流れは変わります。

抜け出し方(3ステップ)

1)過使用薬をやめる/減らす
種類ごとに方法が違います。
単純鎮痛薬:中止 or 使用日数を一気に減らす
配合鎮痛薬/オピオイド漸減が安全(医師と計画)
トリプタン一時的に回数ゼロ→予防へ舵切り

最初の数日〜2週間はリバウンドが出ても山場。乗り越えやすく設計します。

2)離脱期のサポートを用意
吐き気止め、点滴、睡眠スケジュール、休息ルールを事前にセット
別の市販薬に置き換えて“毎日少量”は逆効果。短期の橋渡し(ブリッジ)でしのぎます。

3)予防を入れる(発作自体を減らす)
背景に多いのは慢性化した片頭痛。β遮断薬/Ca拮抗薬/トピラマート/カンデサルタン/三環系、CGRP関連薬(月1回注射 等)。

予防が効けば、急性期薬の「必要回数」も自然に下がります。

薬の回数目安(10日/15日ルール)

トリプタン等は月10日以内、単純鎮痛薬は月15日以内。超えそうならMOHのシグナルです。

薬ごとの「やめ方」早見表

過使用薬のタイプ基本方針ポイント
単純鎮痛薬(アセトアミノフェン/NSAIDs など) 中止または日数を一気に減らす 離脱期の支え(制吐薬・休息・点滴)を先に用意
配合鎮痛薬・オピオイド 漸減(医師の管理下) 自己判断の断薬はNG。安全に山場を越える計画が必要
トリプタン 一時的に回数ゼロ予防導入 「発作そのもの」を減らす方向へ舵切り

もし“スリップ”したら

大丈夫。計画の見直し支えの増量で再挑戦できます。トリガー(睡眠不足・ストレス・カフェイン増量 など)を一緒に点検しましょう。

ふだんのコツ(再発予防)

  • 10日/15日ルールを守る
  • 睡眠・水分・軽い運動を一定に
  • 避けられるトリガー(光・におい・天候・月経など)を調整
  • 頭痛日誌受診後にカルテIDを発行して専用フォームをご案内(AI分析・グラフ化はIDのある方限定)

当院オンライン受診の目安(救急は対象外)

  • 頭痛日数が月8〜10日以上、または薬の使用が月10〜15日に近い
  • 「減らしたい」が一人では不安/過去に失敗した
  • 予防薬CGRP関連薬を検討したい
  • 生活・トリガーと合わせて再発しにくい設計にしたい

オンラインでできること:やめ方の計画、離脱期の支えの準備、予防導入、必要時は対面医療へ紹介。

当院オンライン頭痛外来の流れ

1

公式LINEを登録

メニューから「予約」→「頭痛外来」を選択してください。

2

初診を予約(ビデオ診療)

ご都合のよい日時をお選びください。

3

予約後にカルテIDを発行

患者さま専用の頭痛問診票・頭痛日誌をLINEでご案内します(初診までにご記入)。

4

日誌をもとに診察

合う薬・使い方・生活の整え方を設計。
ご希望によりパーソナルサポート(自由診療)で日誌のAI分析・グラフ化・24時間チャットを追加(詳しくはこちら)。

頭痛日誌のAI分析・グラフ化のサンプルイメージはこちら
頭痛日誌のAI分析・グラフ化のサンプルイメージ
※サンプルです。実在の症例ではなく、効果を保証するものではありません。
頭痛専門医の写真(前川 裕貴 医師)
この記事を書いた人
頭痛センター長・頭痛専門医 前川 裕貴(医師)

オンライン頭痛外来は前川が担当します。記録を活かした診療(頭痛日誌のAI分析)で、“合う薬・使い方・生活の整え方”を一緒に設計します。※救急を要する症状は当院の対象外です。

オンライン頭痛外来のご案内

ご予約はLINEからお願いいたします。まずは落ち着ける場所で休み、合う薬・治療方針を一緒に見つけましょう。
頭痛日誌サンプルもご用意しています。当院では頭痛日誌をGoogleフォームで提出いただき、集計&解析して診療に役立てています。
さらにパーソナルサポートプラン(自由診療)では、日誌をAIで分析して傾向をレポート&グラフ化。24時間チャットで医師といつでも相談できます。

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