専門医の頭痛ブログ

【頭痛専門医が解説】発作性片側頭痛・持続性片側頭痛|インドメタシンで劇的改善

片側頭痛

目の奥の激痛や充血を伴い、「インドメタシン」という薬が劇的に効く特殊な頭痛について、専門医が解説します。

【この記事のポイント】
  • 発作性片側頭痛(PH)持続性片側頭痛(HC)は、片側の激しい痛みと自律神経症状(涙・鼻水・充血など)がセットで起こる頭痛です。
  • ✅ 最大の特徴は、治療薬「インドメタシン」を飲むと劇的に痛みが消えることです。
  • ✅ 群発頭痛など他の頭痛と見分けるために、発作時間やインドメタシンの反応性を確認します。
頭痛専門医
頭痛専門医のひとこと

40代男性の片側頭痛で「数分の激痛が何回も」「軽い痛みが毎日続き山が来る」は要チェック。インドメタシンが合う型なら、道が一気に開けます。

まずは見分け方(PHとHCの違い)

どちらも「三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)」の仲間ですが、発作の続き方で見分けます。

項目 発作性片側頭痛(PH) 持続性片側頭痛(HC)
痛みの持続 2〜30分の発作を1日5回以上 持続的に痛く時々増悪(フレア)
自律神経症状 同側の結膜充血・流涙・鼻閉・眼瞼下垂など 同側の自律神経症状がしばしば
反応性 インドメタシンでほぼ完全に鎮痛(診断的治療)
鑑別 群発頭痛(15〜180分)とは発作時間が違う 頸性頭痛・三叉神経痛・SUNHAと鑑別が必要

なぜインドメタシン?(治療のポイント)

インドメタシンの重要性

  • 診断的治療:十分量で完全に痛みが消えることがPH/HCの強い根拠になります(いわゆる「インドメタシンテスト」)。
  • 運用:効果が確認できたら、最小有効量に落として継続します。HCでは継続投与が必要になることがあります。
  • 注意:胃腸障害・腎機能・血圧などの副作用に配慮し、胃薬(PPI/H2ブロッカー)併用を行います。自己判断の増量・併用は避けましょう。

インドメタシンが合わない/使えない場合の選択肢

インドメタシンは効果が高い反面、胃潰瘍などのリスクで長期服用が難しい場合があります。その際の選択肢です。

  • COX-2阻害薬(例:セレコキシブ):胃腸への負担が比較的少ない選択肢です。
  • トピラマート/ガバペンチン/ベラパミル/メラトニン:個別に有効例があります。
  • 神経ブロック(大後頭神経・蝶口蓋神経節など)、難治例での神経刺激療法。

※鎮痛薬の漫然投与はおすすめしません。連用は薬剤使用過多(MOH)の温床になります。

今日からできる整え方(非薬物療法)

  • 睡眠・水分・栄養の底上げ:夜更かし・空腹・脱水は山を高くします。
  • 首肩のこわばりを減らす:姿勢リセット・肩甲帯の軽運動。日本頭痛協会の頭痛体操PDFも参考にしてください。
  • トリガーの記録:アルコール・睡眠不足・気圧変化など、山の前触れをメモしましょう。

救急が必要なサイン

直ちに医療機関へ

  • これまでにない突然の激痛/持続する神経症状(麻痺・ろれつ障害・視野の欠け)がある
  • 高熱・項部硬直・意識障害を伴う
  • 眼の激痛+視力低下(急性緑内障を疑う)

※当院は救急対応は行いません。緊急が疑われる場合は地域の救急医療機関を受診してください。

当院オンライン受診の目安

  • 片側の痛みが反復し、仕事・生活に支障がある
  • PH/HCが疑われ、インドメタシンの適否や運用(最小有効量・胃薬併用)を相談したい
  • インドメタシンが合わない/使えないため代替戦略を設計したい

初診予約後にカルテIDを発行し、患者さま専用の頭痛問診票・頭痛日誌フォームをご案内します。パーソナルサポート会員には、提出いただいた頭痛日誌をAI解析しグラフ、レポートを作成し診察ごとにお渡し!発作頻度や治療経過を見える化し、薬と生活の最適解を一緒に作ります!

頭痛専門医の写真(前川裕貴 医師)
この記事を書いた医師
頭痛センター長 頭痛専門医 前川裕貴

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