結論:妊娠・授乳中は安全第一。まずは非薬物で山を低く、薬は使うなら根拠のある範囲で・回数管理を。

頭痛専門医のひとこと
「飲めない」ではなく「何を・いつ・どのくらいならOKか」を決めるのがコツ。迷う時間が短くなり、痛みも短くできます。
※薬の「回数が増える」サインは薬剤使用過多(MOH)の芽。運用はこちらも参照。
これ、まず確認(自己チェック)
- 睡眠不足・脱水・空腹・冷え・画面時間の増加が引き金になっていない?
- 薬の使用が月10日(トリプタン等)/15日(単純鎮痛薬)を超えそう?
- 妊娠高血圧・むくみ・視覚異常など、いつもと違う頭痛はない?
急性期:妊娠中の「安全度マップ」
推奨A=高推奨B=中推奨C=低/条件付き避ける=害の根拠あり
薬・方法 | 妊娠中の位置づけ | 推奨度 | ポイント |
---|---|---|---|
アセトアミノフェン | 第一選択 | A | 必要最小量・必要最短。カフェイン併用は1日200mg以内が目安。 |
メトクロプラミド ± ジフェンヒドラミン | 悪心が強い時に有用 | B | アカシジア対策に抗ヒスタミンを少量併用することあり。 |
NSAIDs(イブプロフェン/インドメタシン等) | 原則第二三半期のみ短期(〜48h程度) | B | 第一三半期は慎重、第三三半期は動脈管・羊水の問題で避ける。 |
トリプタン(例:スマトリプタン) | 必要時に選択肢 | B | 大きな催奇形リスクは示されていない。頻回使用は避け、MOH対策を。 |
エルゴタミン/ジヒドロエルゴタミン | 禁忌 | 避ける | 子宮収縮・胎盤血流低下の懸念。 |
急性期:授乳中の「安全度マップ」
薬・方法 | 授乳中の位置づけ | 推奨度 | ポイント |
---|---|---|---|
アセトアミノフェン/イブプロフェン | 第一選択 | A | 乳汁移行が少なく、臨床的に安全域が広い。 |
スマトリプタン | 選択肢 | B | 乳汁移行はごく少量。通常は授乳継続可。心配なら投与後数時間の搾乳破棄も可。 |
メトクロプラミド | 選択肢 | B | 授乳量が増えることがある。母体の副作用に留意。 |
アスピリン(常用量) | 基本避ける | 避ける | 乳児のサリチル酸曝露を避けたい。※低用量アスピリンは別適応で主治医指示に従う。 |
くり返すなら(予防の選択肢)
妊娠中
薬 | 位置づけ | 推奨度 | メモ |
---|---|---|---|
β遮断薬(プロプラノロール/メトプロロール等) | 選択肢 | B | 血圧/脈拍に留意。喘息がある場合は不可。 |
Ca拮抗薬(ベラパミル等) | 選択肢 | B | 便秘・徐脈など副作用管理。 |
アミトリプチリン | 選択肢 | B | 眠気・口渇などを説明の上で。 |
マグネシウム(経口) | 補助 | B〜C | 安全性は高いが便通に注意。効果は個人差。 |
ボツリヌス毒素A(慢性片頭痛) | データ乏しい | C | 妊娠中の安全性は不確実。原則は回避/個別判断。 |
トピラマート/バルプロ酸/カンデサルタン等 | 避ける | 害の根拠 | 口唇口蓋裂・神経発達影響/胎腎障害などの懸念。 |
CGRP関連抗体/ゲパント | 推奨せず | C | 長半減期・ヒト妊娠データ不足。妊活前は中止検討(6か月目安)。 |
授乳中
薬 | 位置づけ | 推奨度 | メモ |
---|---|---|---|
β遮断薬(プロプラノロール/メトプロロール) | 第一選択候補 | A〜B | 乳汁移行は少量。特段の注意なく使用される。 |
アミトリプチリン | 選択肢 | B | 乳児の傾眠など稀に。新生児期は少量から。 |
ベラパミル | 選択肢 | B | 母体の徐脈・便秘に留意。 |
トピラマート | 条件付き | C | 乳汁移行あり。体重増減・傾眠など乳児観察を。 |
バルプロ酸 | 条件付き | C | 乳汁移行は少量だが乳児の肝機能等モニタ。 |
CGRP関連抗体 | データ乏しい | C | 原則回避。必要時は個別判断。 |
まずは「整える」から(非薬物療法)
- 睡眠の建て直し:同じ時刻に寝起き/昼寝は短く。
- 水分・軽食:空腹・脱水の回避。カフェインは200mg/日以内の一定量。
- 冷却/温め:こめかみは冷却、肩首は温めで筋緊張を緩める。
- 頭痛体操:肩甲帯〜後頭下筋をやさしく動かして血流UP。解説PDFを見ながら、痛くない範囲で。
- 画面時間の区切り:20-20-20(20分毎に20秒、6m先を見る)。
まとめ
妊娠・授乳中でも使える選択肢はあるので、「我慢」ではなく設計変更。非薬物で山を下げ、薬は必要なときに・正しく・回数管理。
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