アクイプタ(アトゲパント)は、2026年4月に発売された片頭痛の新しい予防薬です。毎日1錠飲むだけで片頭痛の頻度を減らせる経口のCGRP関連薬として注目されています。
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- ✅ アクイプタは片頭痛の「予防」に特化した経口CGRP受容体拮抗薬(ゲパント系)
- ✅ 毎日1回服用で月間片頭痛日数を平均3.7〜4.2日減少
- ✅ 10mg・30mg・60mgの3規格で患者ごとに用量調整が可能
- ✅ 主な副作用は吐き気・便秘で、多くは軽度かつ一時的
アクイプタ(アトゲパント)とは?
アクイプタ(一般名:アトゲパント)は、片頭痛の予防に特化した新しい経口薬です。2026年2月に日本で承認され、4月17日に販売開始されました。
片頭痛の発作時に脳内で過剰に放出されるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質の受容体をブロックすることで、発作が起こるのを未然に防ぎます。同じ仕組みの薬(ゲパント系)にはナルティーク(リメゲパント)がありますが、アクイプタは予防専用である点が異なります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | アトゲパント(atogepant) |
| 分類 | CGRP受容体拮抗薬(ゲパント系) |
| 適応 | 片頭痛の発症抑制(予防) |
| 規格 | 10mg・30mg・60mg |
| 用法 | 1日1回、毎日服用 |
| 発売日 | 2026年4月17日 |
| 処方制限 | 新薬14日制限あり(発売後1年間) |
従来の予防薬(バルプロ酸やアミトリプチリンなど)が副作用で続けられなかった方、CGRP注射薬に抵抗がある方にとって、飲み薬で同じメカニズムの予防ができるアクイプタは大きな選択肢です。
効果 — 臨床試験の結果
アクイプタの効果は、月4〜14日の片頭痛がある成人を対象としたADVANCE試験で確認されています。12週間の投与結果は以下の通りです。
| 用量 | 片頭痛日数の減少 | 50%以上改善 |
|---|---|---|
| 10mg | −3.7日(プラセボ−2.5日) | 55.6% |
| 30mg | −3.9日(プラセボ−2.5日) | 58.7% |
| 60mg | −4.2日(プラセボ−2.5日) | 60.8% |
| プラセボ | −2.5日 | 29.0% |
すべての用量でプラセボに対して統計的に有意な改善が示されています。50%以上改善(片頭痛日数が半分以下になった)割合は、60mgで約61%に達しました。
慢性片頭痛にも有効
月15日以上の頭痛がある慢性片頭痛の患者さんを対象としたPROGRESS試験でも、60mgで月間片頭痛日数を平均6.9日減少(プラセボ5.1日)という結果が出ています。
飲み方・用法用量
アクイプタの基本的な飲み方は以下の通りです。
- 1日1回、毎日同じタイミングで服用する
- 通常は60mgから開始(状態に応じて10mgまたは30mgも可)
- 食事の有無にかかわらず服用できる
- 飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用する(2回分をまとめて飲まない)
効果が出るまでに数週間かかることがあります。すぐに効果を感じなくても、最低4〜8週間は続けて判断するのが一般的です。
服用タイミングや飲み忘れ対策について詳しくは「アクイプタはいつ飲む?毎日の服用タイミングと飲み忘れ対策」もご覧ください。
予防薬であり、頓服薬ではない
アクイプタは頭痛が起きてから飲む薬(頓服薬)ではありません。毎日飲み続けることで予防効果を発揮します。発作が起きた場合は、トリプタンやレイボーなどの急性期治療薬を別途使用します。
副作用と注意点
アクイプタで最も多い副作用は吐き気と便秘です。
| 副作用 | 発生頻度 | 対策 |
|---|---|---|
| 吐き気 | 約6〜9% | 食後に服用する、数日で軽減することが多い |
| 便秘 | 約6〜7% | 水分・食物繊維を意識する |
| 疲労感 | 約3〜4% | 就寝前の服用で軽減可能 |
| 体重減少 | 約2〜3% | 体重の変化を定期的にチェック |
これらの副作用の多くは軽度で、服用を続けるうちに軽減します。トリプタンのような胸の圧迫感や、従来の予防薬(バルプロ酸やアミトリプチリン)で問題になる眠気・体重増加は起きにくいのが特徴です。
肝機能について
ゲパント系薬剤では肝機能への影響が注目されていますが、アクイプタの臨床試験では重篤な肝機能障害はほとんど報告されていません。ただし、服用中は定期的な肝機能検査が推奨されます。
使用できない方・注意が必要な方
- アトゲパントに対してアレルギーがある方(禁忌)
- 重度の肝機能障害がある方 → 10mgに減量
- CYP3A4の強い阻害薬を併用中の方 → 10mgに減量
- 妊娠中・授乳中の方 → 使用を避ける
- 18歳未満 → 臨床試験未実施のため原則使用しない
なお、レイボーと異なり運転制限はありません。日常生活への影響が少ない点もアクイプタのメリットです。
薬価・費用
アクイプタの薬価は以下の通りです(2026年4月収載)。
| 規格 | 薬価(1錠) | 月額目安(3割負担) |
|---|---|---|
| アクイプタ錠10mg | 339.90円 | 約3,060円 |
| アクイプタ錠30mg | 831.30円 | 約7,480円 |
| アクイプタ錠60mg | 1,461.60円 | 約13,150円 |
10mgなら月額約3,060円(3割負担)と、CGRP関連薬の中では最も安価な選択肢です。ナルティーク(予防:月約13,200円)やCGRP注射薬(月約13,000〜14,000円)と比べてコスト面での優位性があります。
新薬14日制限について
発売後1年間は1回の処方が14日分までに制限されます。詳しくは「ナルティーク・アクイプタの処方制限(14日ルール)と対策」をご覧ください。
他の薬との併用ルール
アクイプタは予防薬のため、発作時には別の急性期治療薬が必要です。主な併用パターンは以下の通りです。
| 併用する薬 | 可否 | 備考 |
|---|---|---|
| トリプタン各種 | ○ 併用可 | 急性期の第一選択。制限なし |
| レイボー(ラスミジタン) | ○ 併用可 | 制限なし |
| ナルティーク(リメゲパント)頓服 | △ 注意 | 同じゲパント系。医師と相談 |
| 市販鎮痛薬(NSAIDs) | ○ 併用可 | 制限なし |
| CGRP注射薬(予防) | △ 原則なし | 予防薬同士。臨床試験データなし |
詳しい飲み合わせは以下の記事で解説しています。
ナルティーク・CGRP注射薬との違い
アクイプタと同じCGRPをターゲットにした予防薬には、経口薬のナルティークと、CGRP注射薬(エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ)があります。
| アクイプタ | ナルティーク | CGRP注射薬 | |
|---|---|---|---|
| 投与方法 | 経口・毎日 | 経口・隔日 | 皮下注射・月1回 |
| 適応 | 予防のみ | 予防+急性期 | 予防のみ |
| 用量調整 | 3段階 | 1規格 | 1〜2規格 |
| 月額(3割) | 約3,060〜13,150円 | 約13,200円 | 約13,000〜14,000円 |
| 注射の有無 | なし | なし | あり |
「注射は怖い」「通院頻度を減らしたい」という方にはアクイプタが合いますし、「毎日飲むのは忘れそう」という方には月1回の注射薬の方が続けやすいこともあります。10mgなら月約3,060円とコスト面でも始めやすいので、まず経口薬から試して、効果を見てから注射に切り替える流れも検討できます。
アクイプタとナルティークの詳しい比較は「アクイプタとナルティークは併用できる?違い・使い分けを解説」で詳しく解説しています。
アクイプタが向いている人
アクイプタを検討したほうがよいケース
- 月4日以上の片頭痛があり、予防薬を始めたい
- 従来の予防薬(バルプロ酸・アミトリプチリン等)で副作用が出た
- 注射が苦手で、飲み薬で予防したい
- 急性期治療薬は別に持っているので予防に集中したい
- コストを抑えたい(10mgなら月約3,060円)
- 運転制限のない予防薬を希望
一方で、片頭痛の頓服薬もまとめて1つの薬にしたい方はナルティーク(予防+急性期のデュアル)が選択肢になります。
予防薬の効果を正しく評価するには、服用前後の頭痛日数を記録することが欠かせません。無料の頭痛記録アプリ「ズツノート」なら、予防薬の開始前後を自動比較し、効果をグラフで見える化できます。
この記事を書いた人
荏原ホームケアクリニック
頭痛センター長
(ズツノート・ズツ便り 開発・運営)
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