カフェインと頭痛の関係は、「効く」側面と「悪化させる」側面の両方があり、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。「コーヒーを飲むと頭痛が治まる気がする」「いや、飲み過ぎるとかえって痛くなるような…」どちらも、実は正しい側面があります。
大切なのは、カフェインの特性を知り、ご自身の体調や頭痛タイプに合わせて「賢く付き合う」ことです。ここでは、カフェインが片頭痛にどう影響するのか、そのメカニズムと上手な付き合い方を解説します。
- ✅ カフェインは頭痛発作の「初期」には鎮痛補助として役立つことがあります。
- ✅ 「毎日の飲み過ぎ」や「急にやめる」ことは、頭痛を悪化させる原因になります(離脱頭痛)。
- ✅ ポイントは量とタイミング。「1日1〜2杯まで」「午後は控える」などルールを決めることが大切です。
カフェインが頭痛に「効く」とき
カフェインが頭痛、特に片頭痛の発作時に「効く」と感じるのには理由があります。
- 血管収縮作用
片頭痛の発作中は、脳の血管が拡張していると考えられています。カフェインには血管を収縮させる作用があるため、発作のごく初期に摂取すると、この血管拡張を抑え、痛みの軽減につながることがあります。 - 鎮痛補助作用
市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDsなど)の多くに、カフェインが配合されているのをご存知ですか? カフェインには、これらの鎮痛成分の吸収を助け、その効果を高める「鎮痛補助」の役割があります。
ただし、これはあくまで「発作の初期」に「適量」を摂取した場合です。タイミングを逃したり、量が多すぎたりすると逆効果になるため注意が必要です。
カフェインが頭痛を「悪化させる」とき
一方で、カフェインが頭痛の原因になったり、悪化させたりするケースも多く報告されています。主な原因は2つです。
1. カフェイン離脱頭痛(中止による頭痛)
これが最も多いパターンです。毎日習慣的にカフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなど)を摂取している人が、急にその摂取をやめたり、量を減らしたりすると、数時間〜2日以内に頭痛が起こることがあります。これが「カフェイン離脱頭痛」です。
例えば、「平日は毎日3杯コーヒーを飲むけれど、休日は全く飲まない」という方が週末に頭痛を起こす場合、この可能性が疑われます。
2. 睡眠の質の低下
カフェインには強い覚醒作用があります。特に午後や夕方以降にカフェインを摂取すると、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりと、睡眠の質が低下しがちです。 睡眠不足や睡眠リズムの乱れは、片頭痛の強力な誘発因子(引き金)です。その結果、翌朝や翌日に頭痛発作が起こりやすくなってしまいます。
カフェインは「効くときは味方、依存すると敵」という、両刃の剣のような存在です。特にエナジードリンクや大容量のコーヒーを毎日飲む習慣がある方は、知らず知らずのうちにカフェインに依存し、頭痛を起こしやすい状態になっているかもしれません。
専門医が推奨する「賢い付き合い方」
では、頭痛持ちの方はカフェインとどう付き合っていけばよいのでしょうか。以下のルールを参考にしてみてください。
カフェインと上手に付き合うためのルール
- 日常的な摂取は1日1〜2杯までを目安にする。
- 睡眠への影響を考え、カフェイン摂取はなるべく午前中、遅くとも15時頃までにする。
- 毎日欠かさず飲むのではなく、週に1〜2日「カフェインを飲まない日(休肝日ならぬ“休カフェイン日”)」を設ける。
- エナジードリンクやカフェイン錠剤での「元気の前借り」は控える。
- 片頭痛の発作が来そうな「ごく初期」には、鎮痛薬と一緒に少量のカフェイン(コーヒー1杯程度)を摂るのは有効な場合があります。
カフェインと「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」
頭痛持ちの方が特に注意すべきなのが、「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」です。
これは、頭痛薬(特に市販の鎮痛薬)を月に10日以上、あるいは15日以上飲み続けることで、かえって脳が痛みに敏感になり、ほぼ毎日頭痛が起こるようになってしまう状態を指します。
市販の鎮痛薬の中には、先に述べたように「カフェイン」が配合されているものが多くあります。これらの薬を常用すると、鎮痛成分の使い過ぎとカフェインの常用という二重の意味で、MOHのリスクを高めてしまいます。
「頭痛薬が手放せない」「薬を飲んでも効かなくなってきた」と感じる方は、MOH(薬剤の使用過多による頭痛)に陥っている可能性もありますので、一度専門医にご相談ください。
| カフェインとの関係 | 注意点 |
|---|---|
| 発作時 | 片頭痛発作の初期に、鎮痛薬の「補助」として少量摂るのはOK。 |
| 日常的 | 毎日飲み過ぎると「離脱頭痛」の原因に。午後の摂取は睡眠を妨げ、頭痛を誘発。 |
| 市販薬 | カフェイン配合の鎮痛薬の連用は、MOH(薬剤の使用過多)の大きなリスクになる。 |
ご自身にとっての「適量」や「悪化するタイミング」を知ることが非常に重要です。頭痛ダイアリー(日誌)に、いつ、何を、どれくらい飲んだか、その後の頭痛はどうだったかを記録してみましょう。自分なりの「最適な付き合い方」が見えてくるはずですよ。
危険な頭痛のサイン(救急受診の目安)
ほとんどの頭痛は片頭痛や緊張型頭痛といった「一次性頭痛(こわくない頭痛)」ですが、中にはくも膜下出血や脳腫瘍など、命に関わる「二次性頭痛(こわい頭痛)」が隠れていることがあります。
以下のようなサインが見られた場合は、すぐに救急外来を受診してください。
危険な頭痛のサイン(Red Flag Signs)
- 突然始まった、今までに経験したことのない激しい頭痛(バットで殴られたような痛み)
- 意識がもうろうとする、ろれつが回らない、手足に麻痺が出る
- 高熱(38度以上)を伴う頭痛
- だんだん(数日〜数週間かけて)ひどくなっていく頭痛
- 50歳以降になって初めて現れた頭痛
(※当院はオンライン診療専門であり、救急対応は行っておりません。上記のような症状がある場合は、ためらわずに近隣の救急病院を受診してください。)
カフェインの量やタイミングが頭痛と関連しているかどうかわからない、市販薬を飲む回数が増えてきて不安だ、という場合は、一度頭痛専門医にご相談ください。ご自身の生活スタイルに合った対策を一緒に考えていきましょう。
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