子どもの頭痛(小児・10代)について、学校での対処法や片頭痛の見分け方、病院受診の目安を頭痛専門医が解説します。
「子どもがまた頭が痛いと言っている…」「学校を休ませるべきか迷う」「もしかしてサボりなのでは?と疑ってしまう」
そんな風に悩んでいらっしゃる保護者の方はいらっしゃいませんか? 実は、頭痛は大人だけの問題ではありません。小学生や中高生(10代)でも、片頭痛などの「病気としての頭痛」に悩んでいるお子さんは少なくないのです。
大切なのは、お子さんの痛みのサインを見逃さず、適切に対処してあげること。この記事では、子どもの頭痛の特徴や、ご家庭・学校でできること、専門医への相談のタイミングについて、優しく解説していきますね。
- ✅ 子ども(小児・10代)にも片頭痛は多く、大人と症状が違う(時間が短い、腹痛・めまいを伴う)ことがあります。
- ✅ 頭痛が起きたら、無理をさせず「静かな場所で休ませる」ことが基本です。
- ✅ お薬(アセトアミノフェン等)は「早めのタイミング」で使うのが効果的ですが、使いすぎには注意が必要です。
- ✅ 学校生活に支障が出ている場合、学校(先生)への配慮をお願いすることも大切です。
- ✅ 頭痛の回数が多い、市販薬が効かない場合は、専門医に相談して予防治療なども検討しましょう。
それ、片頭痛かも? 子どもの頭痛の見分け方
「子どもの頭痛」と一口に言っても、風邪の症状の一つであることもあれば、慢性的な頭痛(一次性頭痛)である場合もあります。特に注意したいのが「片頭痛」です。
子どもの片頭痛の特徴
大人の片頭痛と、子どもの片頭痛は少し特徴が違うことがあります。
- 持続時間: 大人は4時間~72時間ですが、子どもはもっと短い(例: 1~2時間)ことも多いです。
- 痛む場所: 大人は片側が多いですが、子どもは両側(頭全体)が痛むことも珍しくありません。
- 随伴症状: 頭痛だけでなく、腹痛(腹部片頭痛)やめまい(良性発作性めまい)といった症状が一緒に出る「片頭痛の亜型」が子どもには見られます。
子どもの片頭痛 チェックリスト
- 「ズキンズキン」「ガンガン」と脈打つような痛みか?
- 頭痛がある時、光や音をいつもよりまぶしく・うるさく感じるか?
- 頭痛がある時、吐き気や嘔吐(おうと)はないか?
- 頭痛がある時、動きたがらず、静かな暗い部屋で休みたがるか?
- ご家族(特に親)に片頭痛持ちの人はいるか?(遺伝的要因)
- 睡眠不足、ストレス、天候の変化、特定の食べ物などで頭痛が誘発されるか?
これらの項目に当てはまるものが多いほど、片頭痛の可能性が考えられます。
家庭でできること(応急対処法)
お子さんが「頭が痛い」と訴えたら、まずは無理をさせないことが一番です。
1. まずは「休ませる」
片頭痛の場合、光や音の刺激で痛みが増すことが多いです。 テレビやスマートフォンを消し、静かで少し暗めのお部屋で横にならせてあげてください。可能であれば少し眠る(睡眠をとる)と、すっきりと良くなることも多いです。冷たいタオルで痛む場所を冷やしてあげるのも良いでしょう。
2. お薬(鎮痛薬)の上手な使い方
休ませるだけで改善しない場合は、お薬(急性期治療薬)の使用を考えます。子どもに使える鎮痛薬の基本は、「アセトアミノフェン」または「イブプロフェン」です(年齢や体重に応じた用量を守ってください)。
ポイントは「飲むタイミング」です。「痛みが我慢できなくなるまで待つ」のではなく、「あ、頭痛が始まったな」という軽い段階で早めに飲む方が、効果が出やすいことがわかっています。
ただし、お薬の飲みすぎは禁物です。市販の鎮痛薬や病院の頓服薬を月に10日以上使っている状態が続くと、かえって頭痛が悪化する「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」を引き起こす危険があります。お薬を飲む回数が増えてきたら、早めに医師に相談してください。
【重要】学校での対処と先生へのお願い
子どもの頭痛で最もつらいのが、学校生活への影響です。体育の授業、テスト、行事などで頭痛が悪化したり、周囲に「サボっている」と誤解されたりすることは、お子さんにとって大きなストレスになります。
学校生活に支障が出ている場合は、保護者の方から学校の先生(担任や養護教諭)に、お子さんの状況を説明し、配慮をお願いすることがとても大切です。
以下に、お願いする内容の例をまとめます。
| 場面 | お願いしたい配慮の例 |
|---|---|
| 頭痛の 発作が起きた時 |
・保健室の静かで暗めの場所(ベッドのカーテンを閉める等)で休ませてください。 ・可能であれば短時間(例:1時間程度)の睡眠をとらせてください。 ・(医師から処方されている場合)頓服薬を飲むことを許可してください。 |
| 授業中 | ・日差しがまぶしい窓側の席を避けるなど、席替えの配慮をお願いします。 ・体育の授業などで体調が悪化した際、見学や休憩を許可してください。 ・テスト中に発作が起きた場合、別室での受験や時間の延長などを検討してください。 |
| 学校行事など | ・強い光(スポットライト)や大きな音が続く場所を避ける配慮をお願いします。 ・長時間の移動や炎天下での活動は、こまめな休憩をお願いします。 |
学校に理解してもらうのは簡単なことではないかもしれません。その場合は、私たち専門医が「片頭痛」という診断名と、必要な配慮を具体的に記載した「診断書」や「連携メモ」をお渡しすることも可能です。お子さんが学校で安心して過ごせるよう、一緒にサポートさせてくださいね。
片頭痛以外の頭痛(起立性調節障害など)
子どもの頭痛は片頭痛だけではありません。
- 緊張型頭痛: ストレスや、スマートフォン・ゲームなどによる長時間の不良姿勢(首や肩のコリ)によって起こる、ギューッと締め付けられるような頭痛です。
- 起立性調節障害(OD): 思春期に多い自律神経の不調です。「朝起きられない」「立ちくらみがする」といった症状がメインですが、頭痛を伴うことも非常に多いです。この場合の頭痛は、午前中に強く、午後には改善する傾向があります。
これらの頭痛が混在しているケースも多く、どのタイプの頭痛がメインなのかを見極めることが治療の第一歩となります。
専門医への受診を検討する目安
ほとんどの頭痛は命に関わるものではありませんが、中には早急な対応が必要な「危険な頭痛(二次性頭痛)」も隠れています。
以下のような症状がみられる場合は、脳の重大な病気(くも膜下出血や髄膜炎など)の可能性があります。夜間や休日でも、すぐに救急病院を受診してください。
- バットで殴られたような、突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)
- けいれん、意識がもうろうとする、麻痺(手足が動かしにくい)を伴う
- 高熱(38度以上)や、首が硬くなって曲げられない(項部硬直)症状を伴う
- 頭を強く打った後に、だんだんひどくなる頭痛や吐き気
※当院のオンライン診療は、救急医療には対応しておりません。緊急性が疑われる場合は、お近くの救急医療機関にご相談ください。
オンライン診療など専門医への相談目安
上記のような緊急性はなくても、以下のような場合は、慢性的な頭痛が生活の質(QOL)を下げているサインです。一度、頭痛専門医に相談することをおすすめします。
受診の目安
- 頭痛の回数が月に2~3回以上あり、学校や日常生活に支障が出ている。
- 市販の鎮痛薬を飲む回数が月に10日を超えそうになっている。
- 市販薬では効果が不十分(効かない、またはすぐに再発する)。
- 頭痛が原因で学校を休むこと(欠席・早退・遅刻)が多い。
- 学校の先生に配慮をお願いするための「診断書」や「説明書」が必要。
子どもの頭痛は見過ごされがちですが、「片頭痛」はれっきとした病気であり、適切な治療(生活指導、急性期治療、場合によっては予防治療)によって、痛みとうまく付き合っていくことができます。「頭痛くらい」と我慢させず、お子さんのサインに気づいたら、ぜひお気軽にご相談ください。まずは頭痛日誌をつけてみるのも良いスタートですよ。
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