専門医の頭痛ブログ

片頭痛・偏頭痛の予防薬まとめ2026:飲み薬・注射・ゲパントの選び方|頭痛専門医が解説

片頭痛の予防薬の効果と使い分けを解説する

月2回以上の片頭痛や生活に支障がある場合に検討すべき「予防療法」の種類と選び方について、専門医が解説します。

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【この記事のポイント】
  • 始めどき月2回以上の片頭痛、または生活に支障する頭痛が月3日以上予防薬を検討
  • 12週評価:まず3か月で有効性/副作用を判定。合わなければ用量調整・切替・併用を考えます。
  • 内服で改善なければCGRP注射薬:月1回(製剤により12週ごと)の注射薬も選択肢です。
  • 慢性化の予防:予防薬は慢性片頭痛への移行を防ぐ狙いもあります。
目次
  1. 予防治療の全体像(慢性化を防ぎ、頓用依存を下げる)
  2. 予防薬を始めるタイミング
  3. 使い方と評価のルール(12週・目標設定・日誌)
  4. 第一選択の予防薬(特徴・使い方・副作用・相性)
  5. CGRP注射薬:開始基準・種類・副作用・費用感
  6. 経口CGRP予防薬(ナルティーク・アクイプタ)
  7. ステップアップ&デ・エスカレーション
  8. 周辺情報と関連ページ
  9. 当院オンライン受診の目安

予防治療の全体像(慢性化を防ぎ、頓用依存を下げる)

予防治療は発作の回数・重さ・持続を減らし、頓用(急性期)薬への依存を下げる長期戦です。特に慢性片頭痛(月15日以上の頭痛)はMOH(薬剤の使用過多による頭痛)の合併が多く、予防薬の導入が有効です。

(関連:慢性片頭痛の概要と治療薬剤使用過多による頭痛(MOH)

前川医師
頭痛専門医のひとこと

予防は「頻度を減らす/頓用に依存しすぎない」ための長期戦。12週の評価日誌の継続が成功のカギです。急性期の正しい対処は片頭痛の急性期治療もご覧ください。

予防薬を始めるタイミング

開始の目安

  • 月に2回以上の片頭痛発作がある場合
  • 生活に支障する頭痛が月3日以上ある場合

どちらかに当てはまれば予防を検討します。発作の頻度や回数の把握だけでなく、治療効果の確認も頭痛日誌の記載を推奨します。当院では、評価と回数の記録を頭痛記録アプリ・ズツノートを使用しています。こちらで直近30日間の発作頻度や強さなどを把握し、診療に役立てています。

使い方と評価のルール(12週・目標設定・日誌)

  • 目標:頭痛日数↓/頓用回数↓/QOLの回復
  • 評価12週(約3ヶ月)で有効性・副作用を判定します。忍容性(副作用に耐えられるか)を見つつ用量調整・切替・併用を行います。
  • 記録:頭痛・頓用・副作用を日誌で定量化し、次回の作戦に活かします。
  • 急性期との役割分担:発作時は適切な急性期治療を用いつつ、回数管理を行います(詳細は片頭痛の急性期治療【決定版】)。

第一選択の予防薬(特徴・使い方・副作用・相性)

スマホの方は表を横にスクロールしてご覧になれます。

カテゴリー 代表薬 使い方(目安) 相性が良いタイプ 主な副作用 妊娠/授乳
Ca拮抗薬 ロメリジン
(ミグシス)
少量開始、1日2回で調整 肩こり/血管性要素が強い、入眠良好 眠気、ふらつき、ほてり、浮腫 妊娠:禁忌
授乳:慎重
β遮断薬 プロプラノロール ほか 少量開始、脈・血圧を見て調整 動悸/高血圧合併、緊張で誘発 徐脈、倦怠感、四肢冷感 妊娠:慎重
授乳:少量移行に注意
抗てんかん薬 バルプロ酸
トピラマート
少量から漸増 (バ)体重増/躁うつ合併なし
(ト)体重減らしたい、過食抑制
(バ)体重増・肝機能
(ト)しびれ・食欲低下・注意力低下
バルプロ酸:強い催奇形性
トピラマート:妊娠中禁忌
三環系抗うつ薬 アミトリプチリン ほか 就寝前、少量開始 入眠不良、頸肩こり、頓用で寝不足になりがち 眠気、口渇、便秘 授乳:概ね許容
(個別判断)

※用法は一般的な目安。実際の投与は必ず医師の指示に従ってください。

CGRP注射薬:開始基準・種類・副作用・費用感

  • 開始の目安:従来薬で効果不十分/忍容性に問題/発作頻度が高く生活に支障がある場合。
  • 評価:原則3か月で反応性を判定し、継続/切替を決定します。
  • 副作用:注射部位反応(赤み、痛み)、便秘など。
製品 薬価(1本/キット) 患者3割負担の目安 メモ
エムガルティ 120mg 約45,165円 約13,550円/回 初回2本(約27,100円)→以後月1回。30日以上あける
アジョビ 225mg 約41,356円 約12,400円/回 月1回。3本まとめ打ち可。28日以上あける
アイモビーグ 70mg 約41,356円 約12,400円/回 月1回。28日以上あける

※薬価は2025年度改定後。自己負担は概算で、診察料・在宅自己注射指導料等は別途。3製剤すべて在宅自己注射に対応しており、最大3本まで処方可能。詳しくは注射薬3製剤の比較記事をご覧ください。

経口CGRP予防薬(ナルティーク・アクイプタ)

2025〜2026年にかけて、注射不要のCGRP関連経口薬が2剤登場しました。注射が苦手な方や、まずは飲み薬から試したい方の新たな選択肢です。

ナルティークアクイプタ
用途急性期+予防(デュアル)予防に特化
飲み方発作時に頓服 / 予防は隔日毎日1回
用量75mg10mg / 30mg / 60mg
薬価(1錠)2,923.20円339.90〜1,461.60円
月額3割(予防)約13,200円(隔日15錠)約3,060〜13,150円

注射薬(月約12,400円)と比べると、ナルティークはほぼ同等、アクイプタ(30mg)は月約7,480円とコスト面で有利です。ゲパント系の詳しい解説はゲパントとは?をご覧ください。

ステップアップ&デ・エスカレーション(中止のめど)

  • ステップアップ:12週で不十分なら用量調整→薬剤切替→併用(例:第一選択+CGRP)を行います。
  • デ・エスカレーション:十分な改善が6〜12か月続けば、少量ずつ漸減し維持可能か評価します。
  • 非薬物療法:睡眠・光/音・カフェイン量調整・運動・ストレス対処は継続しましょう。

周辺情報と関連ページ(妊娠授乳・前兆・月経・MOH・急性期)

当院オンライン受診の目安

このような方はご相談ください

  • 月2回以上の発作、または月3日以上の生活支障で予防を検討したい
  • 予防薬を使っているが効果/副作用の折り合いがつかない
  • CGRP注射/経口CGRPの適応や費用感を相談したい

初診後にカルテIDを発行し、頭痛記録アプリ・ズツノートとともに12週評価の見立てを共有します。

片頭痛の全体像(症状・原因・種類・治療法)については片頭痛(偏頭痛)とは?症状・原因・種類・治し方もご覧ください。

前川裕貴 医師

前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

日本頭痛学会 日本神経学会 日本内科学会

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